7月21日(日)
本日も最高気温30度前後の予報が出ている。
参院選挙も気になるが、録音作業も大詰めの段階だ。(んで、俺は初めて期日前投票という
やつを体験した。)
Y.STUDIOで録音機材を積み込み、エンジニア浪花氏とアコーディオニストくーちゃんを乗
せて、中央高速を高井戸めざしてすっ飛ばす。
スタジオ到着は、10時01分。なんてことだ! 1分遅刻だ。
持ち込み機材を運び入れ、録音のセッテイングをシャカシャカと済ます。
もう手慣れたもんだ。って、俺は見てるだけだけど・・・。
やっちゃん・うーちゃん・藤井貴子のボーカル&コーラス隊がスタジオ入りするまで、俺
の本歌入れをわっせわっせと始めていく。
17日(水)のCD制作/オーバーダビングの巻⑥にて、楽器の録音がほぼ終了したので、
本日はいよいよ最終段階のボーカルとコーラスの録音に入ったのだ。
俺的には、思い出たっぷりの海外旅行を終えて、日本上空に入ったってカンジ。この旅も
もう少しだ。
なんてなことをフヌケ頭で夢想してると、これからの夏真っ盛りに山のような 編集作業が
待っている浪花氏にぶっ叩かれるので、顔に出ないように自制する。
マイクの組み合わせなどのテストを行い、いよいよ開始だ。
特に意味はなく、「夕陽のカゥボーイ」のボーカルから入れていく。
ちょっと手ごたえが掴めないが、だんだんと加速していき、OKとなる。
13時。うーちゃん、続いてやっちゃん登場。
さてと、ここで切り替えて今回のCD収録カクシ球「(仮)WHO ARE YOU?」を猛スピードで
がっがっがっと仕上げていく。
ここまでは、各楽器の演奏を一つ一つ重ねていく録音方法だったが、この唄は四人で同時に
演奏して録る、いわゆる一発録り、そしてある意味すちゃらからしい録り方を選択した。
これまでの分割離散方式と違い、みんなの表情や動きを見ながらなので、気分が楽だ。
安心・・・ちょっと照れくさい・・・でも、うれしい・・・んで、ソワソワ・・・という
思春期型情緒不安定的録音となった。
スタジオのある京王線上北沢駅は、各駅停車しか止まらない駅だが、すちゃらか特急は演奏60
分、歌&カズー30分の所要時間で走り抜けていく。
本日はギァの変換が素早い。
早い・上手い・楽しい!ってなもんで、吉野家もびっくりだぜ。
3月から始まった制作だが、なにせすちゃらかしゃいにんぐは1985年にカセットテープを録音し
て以来、盗聴癖的愛好家集団によるライブ録音しかされてこなかった。
初めてのデジタル録音作業に戸惑い、狼狽え、詰られ、辱められ・・・、そんな日々を経ての
本日である。山あり谷あり山谷ブルースありなのである。
スッカリ我々は録音を楽しむカギを手に入れた。「じゃ、ちょっと行ってくる。」「いってら
っしゃ~い。」そんな送り出されで、録音ブースに入る。
モニターを囲んでのこちら側では、演奏を聴きながら、手拍子・演奏者コール、そして踊り出す
のが定着した。
演奏が終わって、ブースから戻ってくると、「おつかれ~!」。そして手拍子・演奏者コール、また
また踊り出す。
楽しんだモノ勝ちというシステムは時と場所を選ばず、ツヨイ。
くやしいけれど我々の体の中にそのシステムは深く入り込んでしまっている。
などと、ぐだぐだ回路で思考している時間などない。本日は全体的に巻きマキモードなのだ。
収録曲が変わるたびに、浪花氏がマイクのセットや録音フォーメーションの切り替えで、スタジ
オ内をキリモミ滑空飛行していく。
だもんで、俺たちも低空浮遊ながら、あたふたとてんやわんやで、俺のボーカルとやっちゃん
の“みんなに勇気を与える”コーラスを並行してズンズカ録っていく。
「夕陽のカゥボーイ」「港の酒場の物語」「サイフはカラッポ」とんとんとんと録り終え、『完成』の
スタンプが収録曲リストに押されていく。
15時過ぎ、藤井貴子スタジオ入り。
すぐさま本人ワケがわからぬまま、やっちゃん・うーちゃん・くーちゃんの三人とともに「温泉旅
行」のコーラスに入ってもらう。
この間の録音で、触発されて思いついたコーラスだ。
設定は、温泉に向かうバスの中。小さな会社の社員旅行。酔っ払ってるオヤジと女子社員。東宝
映画。・・・ん?、この会社って開閉商事???
そこは言えない。内緒ナイショ。
では、触発の録音とは???
それも言えない。ナイショ内緒。
CD聴けばすべてワカルヨ。
はい、営業営業。
さて、時間はどんどん過ぎていく。
録音スピードをさらに加速させていく。
俺のヨレヨレボーカルを入れる前に、順序は逆になるが藤井貴子の“手抜きはしないわヨ ”コー
ラスを入れていくことにした。
「ビァ樽ワルツ」「夕焼け景色の彼方から」ともに終了。
ひぇ~い。やっぱり歌い手だ。容赦しないかんね的ボイスがモニターから聴こえてくる。ハーモ
ニーが存在してる。そして美しい。
「陽出国まで」のコーラスは、今まで聴いたことのない飾られ方。異国的ではあるが、懐かしい。
エキゾチックという言葉が浮かんだ。
あんまり悔しいんで、最後の「狼小羊」では仕返ししてやることにした。
この曲は、男(狼)と女(小羊)の掛け合いソングなのだが、二人カズーで間奏にしてある。
んでもって、女性には低すぎるキーなので、ふつうはちょいとムズカシイ。
まぁ、キーは個人差のものだから一概には言えないが、彼女の守備範囲ではない。
何回か録り直しをして、悪くはないテイクが録れたのだが、誰もOKを出さない。
「おかしいな・・・」「どうして・・・」納得できなくて、俺の横で自問と試行を繰り返してる。
歌とは勝手が違う音の出し方だが、さすがです。最後はしっかり整え仕上げてきました。
というわけで、俺のボーカルを6曲ほど残して本日は終了。時刻は23 時を過ぎていた。
たっぷり13時間の収録であった。オツカレサマ。
もうここまで来たら、先は見えた。無事に滑走路に着陸してくれれば ・・・、おっと浪花氏が
こっちを睨んでる・・・、あぶねぇあぶねぇ、話題を変えねば。
この「CD制作底抜け脱線録り物帖」も多分次回の録音をもって終了するであろう。あと
は「(仮)CD制作編集室」とでもなるのか?
すちゃらかのぺんぺん唄が、スッピン状態から化粧され、着飾られ、変身していくのをオ
ヤジ三人はボーッと、ただボーッと眺めているのである。
そして同時につぶやくのである。「生きててよかった!」
《営業2課 じゅんぼう》