いつもキコーちゃんと遊んでいた。
キコーちゃんはとなりの子で、ふたつかみっつくらい上だった。
近所の子と遊ぶことがあったりしたけれどそれは缶けりや鬼ごっこなどみんなで遊ぶ場合だった。
そうでない場合はほとんどキコーちゃんと一緒だった。
ある時、家のうらへ二人で入って行った。うらは椎の木を過ぎると便所があってその横を通って行くと深い森になっていた。上の方にはからすうりがたくさんぶら下がっていたりした。二人で入って進んでいくと、突然キコーちゃんがさけんだ、「大変だ逃げろ」わけのわからないままに逃げたが、後になってよく分かった。くちびるがぶわっーと腫れあがって痛かった。キコーちゃんはおでこだった。二人してハチにさされた。家の人間は大騒ぎでなにをつけたらいいのかわからず、さされたこっちはただ泣きわめいていた。アイスキャンディーを渡されてようやくだまった。かもしれん。
家のまえの道で遊んでいた。何をして遊んでいたのかはわからない。キコーちゃんと一緒だったのだろう。他にも何人かいて勝手にみんな遊んでいた。急に誰かがさけんだ、「タケちゃんが来た!逃げろ」みんないっせいに逃げた。キコーちゃんの逃げる方に思わずついて行った。右手の用水路の方へ逃げて、そのまま用水沿いに走り、橋を曲がって元の道へ戻るコースだったが、完全において行かれてた。一生懸命、タケちゃんに追いつかれないか、後ろを振り返りながらひたすら走った。橋の所で右に曲がって家の方へ。前なんか見ない。後ろがこわい。ドン、ガッシャーン。何かにぶつかり後ろに倒れた。洗濯屋の配達屋の自転車に正面衝突をした。そのまま家に連れて帰ってもらいおでこに赤チンをぬられた。母親はひたすら洗濯屋にあやまり。その後ろでおでこを赤くして泣いていた。
うらの用水路の橋を渡ってしばらく行って左へ曲がるとため池があった。キコーちゃんと一緒にそこへ遊びに行った。キコーちゃんはちょっと離れた所でセミを取っていた。それをみながら片足を池に入れて足で水をかいて遊んでいた。そのころはいつも下駄をはいていた。まだ舗装された道なんか近所になくて砂利道がほとんどだった。そんなところを下駄で歩いたり走ったりするのは大変だったが、親にこれをはけと言われたらしょうがない。そしてどの子もそうだったが、YとGが重なったマークがついた野球帽。完全に洗脳されていた。野球チームはその球団しかないと信じていた。そんないでたちでその日も池に遊びに行って、片足で水をかいていた。そのときジャっポ~ンという音と同時に、「カズちゃんが落ちた」という声が聞こえた。と同時に自分が水の中を沈んでいくのが見えた、「あ、下がってる」すると突然体が浮き上がっていって、そのまま池からあげられた。近所のカバ中の生徒がふ二人たまたま通りかかって助けてくれた。その二人がいなかったら、「あ、下がってる」と思った後、我に返った時に水を飲んでおぼれていただろう。頭がでかかったので野球帽は頭にかぶさったままだったが、下駄は途中でぬげていて、池の真ん中の方へ流されていた。家に帰りキコーちゃんが、「カズちゃんが池に落ちた」と、報告した。その隣でなきべそをかいていた。
すちゃらか・たまらん・うーたろう
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